昭和ネコ令和を歩く

~Show a Cat walk in 00~

作者不詳の美しい詩

今週のお題「○○の秋」(読書の秋)

 

現代人にも感銘を与える詩人

ヨーロッパならゲーテやハイネ、etc

日本にも宮沢賢治、高村幸太郎、中原中也、etc

そして、日本独自の定型詩といわれる短歌や俳句のなかにも

素晴らしい歌や句を作る人物は列挙にいとまがありません。

 

今回はそんな名の知られた人物の作品ではなく、

作者不詳(いわゆる詠み人知らず)といわれている

美しい歌を紹介いたします。

 

 

 

ネイティブアメリカンの教え

最初は天皇皇后ご夫妻が愛子様の教育の

参考にしておられるということで有名になった歌です。 

批判ばかり受けて育った子は、非難ばかりします。

敵意に満ちた中で育った子は、誰とでも戦います。

冷やかしを受けて育った子は、はにかみやになります。

妬みを受けて育った子は、いつも悪いことをしているような気持になります。

なに、これ?うちの実家のこと? 

と、最初の四行を読んだとき思いましたね。

 

「この子はほめても反応がないからつまらない」

記憶に残っている母のセリフの一つです。

毎日毎日、私のやることなすこと上げ足をとってはけなし、

時に罵声を浴びせ、それがBGM状態だった日常で、

気まぐれにはなった「ほめ言葉」とやらにどう反応していいのか?

子供心にわからなかったってだけの話なんですけどね。

 

そのあとの七行は上記の四行とは逆に

子供の心を健やかにはぐくむポジティブな内容が続きます。

 

最近になってやっと「毒親」という概念が認知され、

子供の心に害を及ぼす親の対応が

問題視されるようにもなってきましたが、

それがはるか昔からそれがわかっていた

ネイティブアメリカンの人間への深い洞察はおそれいりました 

 

万葉集

つづいては日本には天皇や貴族から庶民まで

あらゆる階層の人々の歌をまとめた

万葉集」というものが存在いたします。

七世紀後半(飛鳥時代)から八世紀後半(奈良時代)にかけて

まとめ上げられた日本最古の歌集です。

 

わたしが一番最初に学校で習った歌はこちらです('ω')ノ。

あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る  額田王

紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆえにわれ恋ひめやも 大海人皇子

当代一の才女として誉れ高かった額田王

大海人皇子と結ばれ十市皇女をもうけますが、

その後、彼の兄である天智天皇につかえることとなります。

兄の後宮に行ってしまった女性に対しそれでも、

恋心を秘めることができない、という内容の歌です。

 

額田王大海人皇子(のちの天武天皇)そして天智天皇の人間関係は、

古代史を舞台にした小説や漫画でよく題材にされ、

それぞれの作家さんたちの解釈を自分も楽しんだものです。

 

皇族や貴族たちの人間味あふれる歌もいいですが、

名も伝わらぬ下々の者たちの歌もまた味わい深いものがあります。

わたしが一番好きな歌を一種('ω')ノ。

多摩川にさらす手作りさらさらに何ぞこの児のここだ愛しき

布を川で洗って干す作業に愛情をかけて作られた歌ですが、

音の流れが清流のせせらぎのようにきれいです。

 

また当時の大国、唐に対する防衛のため

全国の農村から筑紫(北九州)に人々が集められ、

それを「防人」といいました。

現地までの食糧武器は自前で用意していかねばならず、

農民たちには大きな負担で、

旅の途中に倒れ帰ってこられない者もいました。

別れの悲しみ、あるいは旅や任期の途中で

愛する者を思う歌が多く残されています。

 

この防人たちが集まる大宰府が 

今年は平成から令和へ元号が変わりましたが、

元号の由来の場所ということで

注目されるようになりましたね。

 

 

 

虹の橋

ラストはペットを飼っておられる方なら

知っている方も多いでしょうが

「虹の橋」という歌です。

天国の、ほんの少し手前に「虹の橋」と呼ばれるところがあります。

この地上にいる誰かと愛し合っていた動物はみな、死ぬとそこに行くのです。

そこは草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊びます。

食べ物も水もたっぷりあり、日が降り注ぎ、みんな暖かくて幸せです。

幸せに過ごしている動物たちの魂には一つだけ不満があって

それは地上で愛し合っていた「誰か」と会えないこと、

しかしある日、その「誰か」がやってきて

彼らは再会を果たし一緒に虹の橋を渡っていく、という詩です。

 

さらに二部では、

だれにも愛されなかった人間と動物の魂が通い合い

ともに虹の橋を渡っていく、という内容、

三部では、虹の橋の手前に一か所だけ雨が降り続く場所があり、

その雨はペットを亡くして悲しんでいる飼い主の涙で

飼い主の悲しみが癒えた時、

動物は暖かい場所に行くことができるという内容です。

 

わたしも飼っていた猫をなくした経験があります。

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現在、その猫の生涯もブログにて執筆中ですが、

ペットを亡くした人の心を軽くしてくれるだけでなく、

家族すら持てなかった動物と人間との心の触れ合いなど、

動物のたましいについて気にかかることについて、

かゆい所に手が届くような歌になっているのが素晴らしいですね。

 

 

追記、最初にあげた詩に関しては1990年代に加藤諦三氏によって

ネイティブアメリカンの教えとして紹介されましたので、

その情報をもとに記事を書いておりますが、現在は

ドロシーローノルトさんの詩として紹介されております。