前回のお話👇
モップ兄ちゃん
色は黒、ふさふさとした長毛のオスの成猫でした。
「モップ兄ちゃん!」
二匹は黒の長毛猫に飛びつきました。
ブンブンとまるで空気を掃くように動く彼のしっぽにじゃれつくのが、二匹の大好きな遊びの一つでした。
「すいません、猫博士!弟たちがいつもお世話になっております。」
上品に礼儀正しく彼は言いました。
「ぼくたち大人の猫でも、博士のおっしゃる『うつしみ』とか『うつしよ』とか、ピンとこない者がたくさんいるのだから。ぼくも向こうの世界でとてもしんどい思いをした後に、気が付いたらここにきていたって感じでしたから。」
モップは昔のことを思い出して言いました。
「確かにな、王子。しかしおぼろげながらも理解してくれんと話が先に進められん。」
「でも、虹の橋のことを理解しなくても、ここで過ごす分には不都合はないのでしょう。」
「それも確かに、王子。じゃが、知りたがり屋のこいつらを見ていると、まあ、教えてやってもいいかな、とな。」
「要するに教えたがり屋なのですね、博士が。」
「なんじゃと!」
大人に匹のやり取りの間、子猫たちはモップのしっぽにじゃれつく遊びに夢中になっていました。
「おーい、チビ助たち、こっち向かんか!」
猫博士が言いました。
「大丈夫、聞いてるよ。」
遊ぶのをやめないまま、二匹は返事をしました。
その様子を見てモップは尻尾を動かすのをやめました。
子猫たちは仕方なくきちんと座りなおしました。
「わしらが今いるこの空間には猫族と犬族だけしかおらん。しかしお前たちがもといた世界には、人間という生き物も存在しておったろう。その人間との関係こそが『虹の橋』の重要なカギになるのじゃ。」
猫博士が説明を始めました。するとラテが急に、
「人間っていうのは怖いぞ!母ちゃんだっていつも『人間を利用するのは良いが気を許すな』って言っていた!」
と、強く主張しました。
「まあ、確かに…。」
「言ってたような…?」
ペペとモップはあいまいな反応をしました。
「もう!ぼくなんか連れ去られて四方を壁に覆われたところに閉じ込められたところがあるのだから!」
危機意識の薄い二匹にラテが言いました。
「そんなに怖いってわけじゃ…。」
モップがゆったりと反論しました。
「ぎにゃー!」
ラテがじれて叫びました。その様子を見ていた猫博士は、
(やれやれ、話がずれてきおった。今回はここまでじゃな。)
ふっと大きく息を吐き、三匹から離れていきました。
次回はこちら('ω')ノ。
☆作者あとがき☆
次に出てきたモップ兄ちゃん👇
白子猫たちとは似ても似つかぬ外見ですが、
同じ白猫母さんから生まれた子です。
彼らの前に生まれて育ち、
巣立たず白猫母さんのあとをついてまわり、
うちにえさをもらいに来てました。
私たちが子供の時代のン十年前、
血統書付きの猫といえばシャムとペルシャくらいしかなく
そのなかでも長毛のペルシャといえば
深窓のご令嬢、あるいはご令息、といった
イメージのお猫さまだったので、
長毛といえばセレブ、ペルシャの王子の末裔、
と、いう感じで描かせていただきました。
実際、人間のことも怖がらない
鷹揚な性格のにゃんこでしたからね。
☆おまけ~おまけ扱いは不満ですか?~☆
最近のぼくはずっとおまけ扱いってどういうことよ(マオ)!
まあ、しばらくの間は我慢して(ブログ主)💦