前回の話はこちらです👇
エピローグ
うつしみを脱ぎ捨て虹の橋のたもとに帰ってきたチビは
ほんの少し別の場所に滞在してから
きょうだい猫のラテやぺぺ、そしてモップ兄との再会を果たしました。
この場所ではうつしよであった体の不具合は全部癒されています。
だからチビは一番ふっくらしていた頃の体形に戻っていました。
そして、この場所ではお腹がすくことはありませんが、
やってきたばかりでうつしみの感覚を引きづっている猫、
特に飢えを経験した猫はそれを埋め合わせるように
食べることに専念します。
「それにしても大きくなったね。」
モップ兄はいいました。
とはいっても、彼と離れた時にはチビはそこそこ成長していたので、
大きくなったチビを笑って受け止めています。
しかし子猫の時に別れたラテとペペは、
成猫になりふっくらとしたチビの姿には戸惑いを隠せません。
「食べる」ことに一段落したチビは顔を上げ言いました。
「前はラテもペペも私より大きかったのに、どうしてみんなそんなに縮んじゃったの?」
これを聞いてラテが怒りました。
「ぼくたちが縮んだんじゃなく、お前がふくらし粉を入れたみたいに膨らんだんじゃないか!」
女の子に対してずいぶんな言い草です。
チビはそれに対して反応するでもなく
「ぐにゃー。」
寝てしまいました。
「ぎにゃー、寝てるし!」
ラテはそれを見て叫びました。
「僕も眠くなった。」
「そうだな、ぼくも…。」
ぺぺとモップ兄もつられて昼寝を始めました。
仕方がないのでラテも一緒に寝るしかありませんでした。
虹の橋のたもとの草原はいつも光が降り注いでいますが
一部だけ雨がやまない場所があります。
チビもしばらくそこに滞在した後、きょうだいたちと再会しました。
雨降り地区に集まっている犬や猫を見てラテは
「なんであんな所から動かないんだろう、バカじゃないの。」
子どもなので口の悪さはご容赦ください。
ラテにとっては不思議でしょうがなかったのです。
チビは答えました。
「あそこの雨は冷たくないの、それを浴びるのも嫌じゃなかったのよ。」
ラテには理解できません。
だって猫というのは普通濡れるのが嫌いなのですから。
濡れるのが嫌いなはずの動物があえて濡れることを選択する雨降り地区。
虹の橋に流れる「時間」からすれば「しばらく」の間ですが、
雨降り地区から光の下へ彼らができるだけ早く移動できるように、
その雨の主の悲しみができるだけ早く癒えますように。
☆作者あとがき☆
ペットロスについて書かれた「虹の橋」の詩には
愛されたことのない人間と動物を書いた2章
ペットを失って悲しむ飼い主の涙が雨となって降り注ぐ
雨降り地区のことを書いた3章があります。
2章のことはこちらの物語の3部に書きました。
そして3章がエピローグに、
長らくおつきあくださりありがとうございました<(_ _)>。
☆おまけ~スペシャルサンクス~☆
登場ニャン物、左からモップ兄、チビ、ラテから愛をこめて。
バレンタインの余韻が残る画像にて挨拶です。