昨日放送の『鎌倉殿の13人』では曽我兄弟のかたき討ちにからむ話が出てきていましたが、かたき討ちが美談として語り継がれた裏に隠された事実が、というのは「赤穂浪士」と一緒じゃないか、と、思いました。
今回の大河ドラマにおける曽我兄弟の敵討ちをざっくり説明すると、
- 曽我兄弟の父親が工藤祐経に殺される
- 兄弟が成人してのち、烏帽子親の北条時政(源頼朝の舅)にかたき討ちを相談
- 兄弟の気持ちに共感しかたき討ちのための軍勢を時政が整えてあげる
- しかし兄弟の狙いは工藤だけではなく、将軍源頼朝も祖父(伊東祐親)の敵として狙っていた
- 工藤は打ち取ったが頼朝暗殺は失敗
- 政権に対する批判であったことを隠すため、父親の仇工藤を打ち取ったとこだけをことさら美談として強調しつつ、曽我兄弟を斬首
こういう流れでしたね。
頼朝が難を逃れたのは、家臣を身代わりとして寝所に残して夜這いに言っていたから、という、頼朝の女癖の悪さが功を奏したという、三谷さんらしい?展開だったのは笑えましたが( ̄▽ ̄;)。
同じく日本三大かたき討ちの一つ「忠臣蔵」の話の展開はこうです。
- 播州赤穂の殿様浅野内匠頭が、朝廷の接待の際の指南役吉良上野介に虐められる
- 松の廊下で浅野内匠頭が吉良上野介に短刀をもって切りかかる
- 朝廷を迎えた晴れの席で刃傷沙汰を起こした浅野内匠頭は即日切腹
- 吉良上野介おとがめなし
- 播州浅野家断絶、家臣は皆浪人に
- 筆頭家老の大石内蔵助は内匠頭の弟を殿として浅野家再興に望みを託すが、幕府はそれを拒否、お家再興の望みが絶たれる
- 大石を中心とした赤穂の浪人たちが吉良家討ち入りを決行
- 吉良上野介を打ち取り本懐をはたす
これも主君の敵を討った美談として語られていますが、その中心となった大石内蔵助には幕府の裁定への強い批判の思いがありました。なぜ、問題を起こした片方(浅野内匠頭)だけを処分して、吉良はおとがめなしだったのか?と。
ゆえに吉良を討った後すぐに切腹をせず、吉良邸襲撃の判決を幕府にゆだねることで、再び幕府に難題を突き付けたのです。
どっちのかたき討ちもその奥に時の権力者に対する批判がありますが、それが美談の陰に隠されて見えなくなっちゃっています。
それを三谷脚本では、
「これはかたき討ちを装った謀反ではなく、謀反を装ったかたき討ちなのです。」
と、まあ、露骨に隠そうとしていることを表しているところが興味深いですね。
ここから先はドラマに対する私見ですが、のちの二代将軍頼家となる万寿が痛々しかったですね。
北条義時の息子金剛も登場して立派に成長している様との比較がありこれはつらい!
でもそれなりに聡明で上の立つものの器量を見せていました。
『草燃える』では郷ひろみさんが成人してのちの頼家を演じていて、甘やかされたボンボンというか、実権を御家人13人に奪われてからの無軌道っぷりとかが印象に残っていましたが、三谷脚本での頼家はどうなるのでしょうかね。
今回の万寿を見ているとのちの悲劇を考え、可哀そうすぎる、と、思ってしまいました。
おまけの猫パンチ
それではまた(^^♪。