虹の橋のたもとの子どもたち7 ~晩秋のさむい夜~

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前回のお話👇 

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晩秋のさむい夜

季節は冬の訪れを感じさせる晩秋になっていました。

 

ラテにとっての「衝撃事件」はさておき、子猫たちは、それ以外は変わらず自然と戯れながらすくすくと育っていました。

 

子猫三匹が遊ぶ時には、いつもラテが先頭を行き「冒険」を始めます。

その日もラテがぐんぐん先に進んで、他の二匹は見えなくなっていました。

「しょうがないなあ、あいつらとろいからなあ。」

そう言いながら振り返った時には、まだ帰る方向はちゃんとわかっていました。

 

そして、あるものがふとラテの目にとまりました。

トンボでした。

「ひさびさの大物!よし、あれを取って帰ったら自慢できるぞ!」

秋の終わりに生き残っていたトンボは最盛期より動きが鈍いようでした。

それでも子猫に簡単に捕まることはありませんでした。

「こんにゃろめ!えいっ!」

距離をつめて飛びつこうとしてもなかなかうまくいきません。

そうこうしているうちにトンボはラテから離れていきました。

「ああ、逃げちゃった…。仕方がない、帰るか。」

ラテは思いました。

しかしトンボを追いかけるのに夢中になってしまい、自分のいる場所がどこなのか全くわからなくなってしまっていました。

 周囲はラテより背の高い草で覆われ、

「母ちゃん!」

叫んでも、返事は帰ってきませんでした。

日はすでに暮れかけており、どんどん気温は下がってゆきました。

「母ちゃん、みんな、どこにいるの!」

何度もラテは叫びました。

しかし、どこからも反応は帰ってきません。

あたりはどんどん暗くなってゆきます。

まだ小さいラテの体は、下がってゆく晩秋の夜の気温に単独で耐えられるものではありません。いつもなら体が冷えないように、他のきょうだい猫や母猫と身を寄せ合って眠るのです。

 

歩き回ったラテはついにその場にしゃがみこみました。

「さむいな、それになんだか眠い…。少し休んでからまた探そう。」

 

次にラテが目覚めた時、そこは元いた草原ではありませんでした。

「ふむ、目が覚めたかな。」

「うわっ!」

真上から普通の猫よりはるかに大きい「猫」がのぞきこみ、ラテに話しかけました。

「お前さんは”ラテ”じゃよ。」

大きな「猫」がいいました。

子猫はその時、自分自身の「名」を初めて聞き、抵抗なく受け入れました。

そこは元いた場所より見晴らしがよく光が降り注ぎとても暖かな場所でした。

自分以外にもたくさんの猫や、そして「犬」という生き物もいて、みんなそれぞれ好きなことをして過ごしている場所でした。

 

次の話はこちら👇 

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☆作者あとがき☆

ついに来てしまいました「虹の橋のたもと」。

 

”うつしよ(現世)”は子猫にとって

やさしい場所ではなかったですから。

 

人間目線で言うと単に行方不明となってしまった

ラテの虹の端へといった経緯を考えるにあたり、

一番「残酷」でないシチュエーションにしてみたのですが…。

 

まだペペの事情も残っているからな(-_-;)。

少々精神的にきつい展開が続きます。

 

☆おまけ~秋の畑の白にゃん~☆

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白猫母さんがおとなしく写真を撮らせてくれた珍しい一枚。

上部に移っているのは芽キャベツの苗。