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わたしは欠陥品
ラテが声をかけたのはビロードのような青灰色の毛並みの小さな女の子でした。
「寒いの…。」
女の子の猫は震えながら言いました。
寒い?この暖かい日の降り注ぐ草原が?
しかし女の子の震えはとれませんでした。
ラテは彼女の隣に座り、オズオズと体をなめてやりました。
すると女の子はラテの方に近づいて体を密着させました。
「くっついていると温かいからしばらくこうしてていい?」
女の子は言いました。
そういえばラテも小さいときにはきょうだい及び母猫がみなくっついて寝ていました。
そうすると体が冷えないからです。
女の子の猫が安心して眠りに入るのを見届けると、
ラテもなんだか眠たくなり、そのまま一緒に眠りました。
それ以来、ラテは時々その女の子と一緒に遊ぶようになりました。
名を持たぬグループの猫なので、ラテも彼女を「君」と呼ぶしかありませんが、不都合はありません。
一緒にいるうちに女の子はだんだん自分のことも話してくれるようになってきました。
名無しの女の子は、人間の家の中でしか一生を過ごしたことのないグループの中の、彼女と同じような色の毛並みの猫を指して、
「お母さまもああいう見かけだったの。一緒に生まれたきょうだいたちもそうよ。ここに来た時、いろんな色や柄のねこがいるのでびっくりしたわ。」
「へえ、そうなんだ。僕の母ちゃん、いや、母さまも僕と同じ白い色の毛並みだった、弟のペペもそうだ、でももう一匹真っ黒な毛並みの妹がいたんだ。それから僕らより先に生まれていた兄ちゃんは僕たちと全然違う毛並みなんだよ。ほらあそこにいる。」
「あれが、お兄さま!本当に全然見た目が違うのね!」
少し離れたところで寝ているモップ兄を見て女の子が言いました。
「それで、どっちの毛並みが上等で完璧なの?」
女の子は聞きました。
ラテは彼女の質問の意味が分かりませんでした。
「お母さまや私たちの上でにんげんたちがよく言っていたから。それで私は”欠陥品”だったから…。」
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☆作者あとがき☆
人間とは全く縁のないノラグループにいた割には、
品のいい言葉使いをする女の子の猫です。
イメージ的にはこんな感じ('ω')ノ。
いやすとやのロシアンブルーのイラストです。
ラテ君、自分の言葉使いが庶民的過ぎるのを
ちょっと気にしたりしてました。
☆おまけ~へそ天は安心と温かさの証~☆
虹の橋のたもとでは子猫同士の猫団子、
と、超絶ラブリーなシーンが展開されていますが、
それと同様の画像は探したけど手元にはなく、
仕方がないので寒いときにする「団子」とは
真逆のへそ天画像放出です('ω')ノ。
どやあ~!
もういっちょ!こちらはウッドデッキにて。