前回の話はこちら👇
吾輩は猫であるって見ればわかるよ
「じゃあ、もうちょっと語ってやろうかの。」
猫博士が言いました。そして近くにいた猫に、
「おーい、白子猫たちとその兄貴呼んできてくれ。」
と、頼みました。
しばらくして、以前、タダヒトの胸に飛び込んできた白い子猫とさらに小さい子猫、そしえ、黒い長毛の成猫がやってきました。
「猫博士のレクチャーじゃ、これからタダヒトに話すことは白チビたちに以前話そうとしたことを含んでいるから、ついでに呼んだ。」
飛び込んできた子猫の方は物おじせずタダヒトの前に座りましたが、小さいほうの子猫は黒の長毛猫の影に隠れながら彼の様子をうかがっていました。
「では、コホン…。」
猫博士は大げさに咳ばらいをしました、そして
「吾輩は猫である!」
と、堂々と言いはなったのを聞いて子猫たちが口々に言いました。
「見ればわかる。」と、ラテ。
「何当たり前のことを言ってるの?」は、ぺぺ。
子猫たちの反応を聞いた猫博士は
「ガニャ~!なんじゃ、その不敬なつっこみは!」
と、怒りをあらわにしました、そして、
「今のセリフはな、えらい文豪が書いた有名な小説の冒頭の一文なんじゃぞ!」
まくし立てるように説明しました。
タダヒトは”知っている”と言いたげにうなずきました。
子猫たちには”文豪”とか”小説”とか言われてもちんぷんかんぷんでした。
「小説というのは物語のことだよ。面白いお話って言ってもいいね。」
タダヒトは子猫たちにわかりやすいように説明しなおしました。
子猫たちはそれでも、こんな当たり前のことをまず言う”小説”とやらが面白いのだろうか?と、疑問に思いました。
でも猫博士の剣幕を見て口には出しませんでした。
猫博士は気を取り直して再び声を張りました。
「吾輩は猫である。名前はまだない。」
するとラテは、
「え~!”猫博士”って名前じゃないの?」
つい口にしてしまった後、しまった!と思いました。
しかし猫博士は今度は、
「いい質問じゃ。」
と、褒めてくれました。
子猫たちは拍子抜けしましたが、猫博士は続けました。
「うつしよの人間の世界には生まれた時につけられる”本名”というものがあり、そのほかに周りの人間が親しみを込めてつける”あだ名”あるいは”ニックネーム”と、呼ばれるものがある。”本名”はめったに変わることはないし一つだけだが、”ニックネーム”は変わることもあればいくつも持っていることもある。」
タダヒトはうなずいた、けれど、猫たちはその違いに何の意味があるのかよくわかってないようでした。
「わしが呼ばれている猫博士というのはニックネームじゃ。わしには誰かがつけてくれた”本名”なるものはない。タダヒトというのもニックネームじゃが、彼にはうつしよにいる間つかわれていた”本名”なるものがある。そしてお前たちの”ラテ””ペペ””モップ”も本名じゃ。」
猫博士の言うことに猫たちはますます混乱してきました。
次回の話はこちら👇
☆作者あとがき☆
漱石先生の有名な小説のセリフも、
子猫たちにかかればこのありさまです。
二回目の時のラテのつっこみには猫博士、
あんたは池上先生か!
って感じでほめてくれていましたが( ̄▽ ̄;)…。
猫博士のイメージってこの方👇
ドラゴンボールのカリン様。
あとこの方も👇
あくまで性格的なイメージなので、
外見は好きに想像していただいてOKです。
☆おまけ~頭の上からこんにちは~☆
木登り中のマオです。
もう一枚どうぞ('ω')ノ。
ではまた(^^♪。