昭和ネコ令和を歩く

~Show a Cat walk in 00~

トキシックポジティビティによる虐待肯定論

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トキシックポジティビティ(Toxic Positivity)

直訳すれば「有害な前向きさ」。

 

つらい環境にいて感じるネガティブな気持ちすら否定し、

それを「前向き」に変換させるように強要する世間の暗黙の了解。

 

例えばあなたが何かに傷ついたとして、

それで悲しそうな顔をしたり、

つらい気持ちを吐露したりしようとしても、

それ自体否定して

「世の中にはもっと苦労している人がいる」とか、

「明るい面もあるのだからそれに目を向けるように」とか、

言ってくる行為があります。

 

様々なネガティブな感情も人間の一部です。

その感情を否定して無理やりポジティブな方向に

もっていこうとする輩というのは、

結局自分が幸せそうでない人や落ち込んでいる人を見るのが

嫌な人なのでしょう。

確かにそういう人を見ると落ち着かない気分になって、

場合によっては何もできない自分に無力感を持つ場合もあるけど、

傍にいる人がその人の「無力感」などを何とかするために

幸せな顔をする義務は全くないのですよ。

 

こういうことをわからない輩とは、

悩みを相談したり愚痴を言ったりしても、

それに共感してくれもせず、

前向きなことを言われても、

なんだかネガティブな感情を持つこと自体を

辱められているような嫌な気分になるので、

言わないようにする、距離を置く、

日常の範囲内ならそれで何とかなる場合もあります。

 

estrella846.hatenablog.com

人選ミスったっていうES(id:obasit-n1731)さんの話👆ですが

それ読んで(*-ω-)ウンウンって気持ちになっていました。

 

ただそれをメディアがやっちゃうとね、

明石家さんまさんがプロデュースした映画

『漁港の肉子ちゃん』のハッシュタグ

「みんな望まれて生まれてきたんやで」というのが

毒親を持つ人への配慮が足りないとかで炎上したのですね。

 

私がやっているもう一つのブログアメブロの中に

それに関連するブログがあったので張っておきます👇。

ameblo.jp

 

映画の出来はTwitterを見たところ賛否両論あって

見てないものとしては判断がつきませんし、

さんまさん、あるいは宣伝サイドは

悪意なく「ポジティブ」な言葉を選んでいるのでしょう。

 

しかし、それは毒親持ちにとっては、

上の記事に書かれているように

確かに「押しつけ」に感じます。

 

毒親に言われた「有害」な言葉を

自分の中で「無毒化」していくことも、

それらすべてひっくるめて毒親の悪影響を

昇華していくことにも個人差があります。

 

自分の親が毒親であったということを悟った後は、

それに伴うネガティブな感情を味わいつくし、

そのうえで受け入れていく過程が大切です。

 

にもかかわらずああいう言い方って

せっかく自覚できた毒親からの害と、

立ち直る過程で味わうネガティブな感情を

否定されるという意味で極めて有害なのですよ。

 

スピリチュアル系の

「親を選んで生まれてくる」というのも

その変化形ですが、

これは毒親持ちだけでなく、

子どものいない人も傷つけているのですね。

 

発言した著名人に悪意はなかったのでしょうが、

その言葉を引用して身近な人間に投げかける人間が

どのような「悪意」や「無神経さ」をもって

その言葉を使うかはわかったものじゃない、

と、いうこともありますしね。

 

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雨も寒さもネガティブな感情も、

過ぎ去るまでは屋根とか傘とか温かい衣類が必要で、

心が見えないからって、

晴れている時と同じようにふるまうことを強要されたら

たまったものではありません。