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小さな虹と大きな虹
「よせっ、危ない!」
ラテが引き止めましたが手遅れでした。
青灰色の子猫は少女の懐に飛び込んでいきました。
「○○では失敗したから、弟はね…。」
その時少女が思い出していたうつしよでの出来事。
母親から自身が「失敗作」であるかのようなものの言われ方をされ、あとから生まれた下の子で同じ轍を踏まないようにするという発言を面と向かってされていました。
怒りを感じているのに、怒りを感じることすらとがめられてきました。
怒りとは悲しみの二次感情です。
母親からも「失敗作」とレッテルを張られ、ことあるごとに不足を言い立てられたことの悲しみから派生した怒り、恨み、殺意。
持ちたくて持ったわけではない感情を、それでも持たざるを得ない状況であったのに、持ったことすら非難される理不尽。
それらに対する感情は全て、虹の橋のたもとにたむろう生き物のたましいたちには黒い霧に見えていました。
しかしそんなこと少女には知ったことではありません。
彼らから避けられることも大きな問題だとは感じていませんでした。
そこへ一匹の子猫が飛び込んできたのです。
黒い霧は微細な水滴の集まりです。
発する水が濁っていて、その水滴が子猫の毛並みにもつきました。
子猫は毛皮についた水滴を払うためにぷるるっと体を震わせました。
するとどうでしょう。
はじき飛ばされた水滴が透明になりました。
そしてそれらが光を反射して少女と子猫の顔の前で小さな虹を形作ったのです。
本当に意味で愛されることを、うつしよにて体験できなかった二つの小さな魂が出会えたことをお互い理解できました。
そしてまもなく、大きな虹が草原と向こう岸の間にかかりました。
少女は青灰色の子猫を抱いて猫博士に挨拶をしました。
猫博士のそばで様子をうかがっていたラテに、
「仲良くしてくれてありがとう、楽しかったわ。」
女の子の猫がいいました。
「幸せなの…?」
ラテはおずおずとたずねました。
「ええ、この上なく。」
名無しの女の子の晴れやかな言葉にラテはそれ以上何も言えず微笑むだけでした。
少女と青灰色の子猫は虹を渡って遠ざかっていきました。
☆作者あとがき☆
虹の橋の詩は三部まであり、第二部では、
仲間たちが次々に飼い主と再会し
虹の橋を渡っていくのをうらやましそうに眺めている子がいます。
生前人に飼われたことのない子でした。
その傍に生前苦労ばかりで
だれにも愛されたことのない人間がやってきます。
愛されたことのない人間と動物が巡り合ったとき奇跡が起きます。
そういう内容なのですね。
ラテ君にはちょっとかわいそうな結果になっちゃったかな。
小さな恋のメロディ成就ならず(;^ω^)…。
☆おまけ~レッツへそ天ダンシング!~☆
前回もへそ天画像を加工したものを紹介しましたが、
今回は光乱舞するダンスホールで踊るマオ。
ダイちゃんも帰ってきたことですし、
愛でたいときには踊らにゃ損、損!
意図しなかったけど、めでたいが「愛でたい」に
変換されたので掛詞とします。
掛詞ー和歌などにおいて同音異義語を利用し、一つの言葉に二つ以上の意味を持たせる修辞法のこと。
ではまた(^^♪。